フレイルとは...
そもそも、フレイルという言葉を耳にしたことのある医療人はどのくらいいるだろうか。
この言葉は、2014年5月に日本老年医学会が"Frailty"という英語の統一した日本語訳として提唱している言葉で、もともとは「虚弱」とか「脆弱」といった意味の言葉だ。以前からこうした分野に対する研究などは行われていたものの、最近ようやくカタカナ語として定着し始めたかなと筆者は感じている(それでも身の回りにいる薬学生はやはりこの言葉を知らない人で溢れている。)。
脳卒中などのケースを除けば、多くの人々は健常な状態から、フレイルの時期を経て要介護状態へと至る。フレイルの状態の方は、健常の人に比べて、要介護状態に至る危険性が高い。フレイルとは、高齢期に生理的予防能が低下することでストレスに対する脆弱性が更新し、生活機能障害、要介護状態へ陥りやすい状態であり、筋力の低下によって転倒しやすいといった身体的問題のほか、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題までをも含む概念である。
参考までに下記にフレイルに関する
日本老年医学会からのステートメントへのリンクを載せておく。
フレイルがこれから、注目されてくる!
フレイルの状態を早期発見し、早期に対応することで、要介護に至る方を減らし、健康寿命をのばすことができるのではないか、と様々な研究が行われ、様々な提案がなされている。
そんな中、厚生労働省の方から提案されている2025年問題に対するアプローチ、地域包括ケアシステムもようやくシステム面は整い始め、実施、普及の段階に来たといえよう今、かならずやこの「フレイル」という言葉が重要な役割と果たしてくると筆者は考える。
健常な状態と要介護状態の中間の状態ということで、この範囲は必ずしも医者だけではカバーしきれない。すなわち、医者以外の医療者たちの活躍が大きく期待される分野になってくるであろう。こうした予防医療の分野では、特に薬剤師や介護ヘルパーについては大いにその職能が発揮されるのではないだろうか。
薬剤師よ、薬学生よ立ち上がれ
フレイルの状態の方は、複数の疾患を持ち、複数の薬剤を内服している方が多い傾向にあるそうだ。複数の薬剤と聞いてピンとくるのは、ポリファーマシーという言葉だ。(この言葉も比較的目新しい。)多剤服用のために、残薬問題はもちろんのこと、逆に健康被害を起こしてしまっている患者への薬剤師の介入は必須である。
むしろこれからはこういうところに薬剤師が入っていかないといけない。薬局の中で構えているだけで患者の抱える潜在的な問題にどうやって気づけようか。薬剤師はもう自ら薬局の外へと動きだすフェーズに来ているはずだ。
薬学出身の筆者としては、これだけ薬剤師の介入の余地が大きい分野はなかなかないだろうと思いながら、これからの薬剤師、薬学生に対して期待を寄せ、2025年問題(もちろんそのさきも)を乗り切って欲しいと思うわけであります。
次回は具体的な薬剤師の介入についてでも書いてみようかな。