2021年8月21日土曜日

COVID-19 mRNAワクチンの今後の展望:低コスト/高純度化と、キャリアフリー(脂質性ナノ粒子不使用)、そして自己投与へ

mRNAワクチンの今後の展望


今朝電車で以下のニュースを見かけて、そろそろ「mRNAワクチンの今後」について書き留めておこうと思いました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA201WJ0Q1A820C2000000/

正直、ブースター接種(3回目)が効果があるのか?とか、annualな接種でいいのか?とかその辺の臨床的知見までは追いきれていないですので(僕の追うべきは基礎側)一応それはお伝えしておきます。



結論ファーストで、今考えている「mRNAワクチンの今後」です。
以下①ー④を中心に技術・研究側での議論は進んでいくのではないかと考えています。⑤も重要ですがやや付随的というか、継続的に議論は進むが、優先度はちょっと落ちるかな、という印象(いや繰り返しますが⑤も大事)。

①高純度
②低コスト
③キャリアフリー
④自己投与が可能
⑤その他:保存温度(安定性)、タンパクへの翻訳効率活性化


各論書いていると大変になるので、サクッとですが、概要を記しておきます

①高純度


ファイザー/Biontech製のワクチンの純度は実は60-70%程度という報告がされています。これが実は衝撃だと思って欲しくて、普通のタンパク製剤(抗体)や低分子の医薬品の純度はまず99.5%くらいあると思います。95%でぎり承認、90%切ればもう議論できないくらいの感覚。というのも例えば純度90%だったとしても、残りの10%の不純物が本当はターゲットと考えている医薬品の100倍活性があるみたいな話だったら実は主要な生理活性を持っているのは、不純物の方だよね、って考えもありうるわけで。

60-70%というのは、基礎研究の論文をpublishするのにギリギリ耐えるかどうかくらいの相当汚いレベルです(僕がreviewerなら基礎論文でも純度70%でデータ出してきたとしてもなんでこんなに汚いんだ?精製しなさいって言います。)。
巷ではなぜ話題になっていないのかよくわからないですが、多分水面下でこの辺は対策が進められているのでは?と推測しています。


②低コスト 


以前から基礎の分野では、ここは議論の対象かも。(基礎科学の試薬会社から試算してmRNAワクチン3kg(1億回分)を作ろうと思ったらスケールメリット入れても5-50兆円かかるって、以前予想投稿していました。)。

実際今のところ、20億回分で:ファイザーの売り上げが3.7兆円, ビオンテックの売り上げが2兆円。思ったより安いけれど、それでも異常なまでの価格です。

(注)毎年世界でめちゃくちゃ売れるtop10の医薬品でもだいたい1000億くらいです。その10-100倍売っている。。。

多分、修飾UridineやARCAの特許、4000塩基のchemical ligationでlossするなどの原因があるのだと考えていますがその辺の奥まったところはまたいつか。


③キャリアフリー


ここはコストや副作用の話と関連。

多分筋中で痛いだけじゃなくて、脂質性ナノ粒子(LNP)による毒性・免疫性もあって、副反応による発熱や腫れがある可能性も否定できないと考えています(インフルエンザワクチンの筋中(LNPを用いていない)は多分こんなに腫れたりしないですよね、データ見てないですけど)。

LNPは粒子の大きさが不均一であったり、+チャージを帯びていて細胞毒性があるって話はずっと指摘されているのです。じゃあどうやってmRNAを送達するの?というところがこれからの研究者の腕の見せ所ですが、昨日もmRNA送達に関して個人的にはBreakthrough of the Yearクラスの面白論文が出ました。日進月歩です。
(ちなみにここが今やってる僕の研究でもあります。)


④自己投与が可能


個人的にここの注目度はtopです。毎年打たないといけないような代物なら、そのうち自己投与が可能になる(ように世の中が動いていく)のではないかと考えています。インスリンの自己注射みたいなイメージです。もちろんそのためには保存温度だの安全性だの、副作用だの免疫反応(多分これが最大の関門)だの課題は山積していることは事実です。

しかし、現状ワクチン購入のコストよりも、稼働する医療資源(特にマンパワーのことを指します)や、それにかかる人件費、などのコストがとてつもなく大きいと踏んでいます。



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関連書籍

2021年8月9日月曜日

核酸医薬研究者の、新型コロナウイルスワクチン接種手記_気になったのはモデルナアームと黄色尿

新型コロナウイルスワクチン接種記録


・先日(というか昨日)ワクチン打ってきたので、個人の体験記録として、後々のためにも残しておこうと思います。あくまで接種に反対とか賛成とか、ワクチン危ないとか大丈夫とかそういう意見を述べるための記事ではなくて、本当に立場としては中立な立場で書こうと思っています。「個人として、このように感じた/ このような経験をした」ということを述べるだけです。n=1の意見としてご参考まで。



接種に至るまで (2021年6-8月くらい)


・6月くらいに大学の事務から、職域接種(?)の案内が来た
・予約開始が7月上旬くらいだった
・この職域摂取では、モデルナ(moderna)ワクチンを打つらしい(やった!)

・自分は大学の方での実験が繁忙期だったこともあって少々後回しにして7月末(25日くらい?)に再び予約サイトの確認・予約方法のチェックなどをすることに。

 → するとどうでしょう。
  ワクチン供給の遅れからか、予約を一旦中止されていました。。無念、。

・と思いきや、追加で予約を受け付けしますとのメールが2,3日後にすぐ届いて、これは早く予約せねばと受診後すぐにURLを開いて、あっさり1clickで予約完了!(「これで予約終わり?!」ってくらい1クリック。。)
 
 → 8月5日と割とすぐに順番が回ってきました。


ワクチン接種1回目(21年8月5日)


・接種当日:17時37分の接種予約でしたが、結局打ったのは、17時56分。
自治体から届けられるワクチン接種チケットみたいなのを持っていかないといけなかったみたいだけれど、届いたのが前日だったこともあり、開封前で持って行くのさえ失念。

けれども、接種現場で問診票に記入して本人確認書類提出したらあっさり打たせてくれました(予約名簿の確認はされました)。時刻が夕方だったからか、問診まではほぼ待ち時間ゼロで通れて、接種に2,3名の並びがあって5minくらい待ったかな、という感じ。

半個室みたいなところで、自分は看護師さんに打ってもらいました。
接種の際は、利き手の確認とアルコールかぶれ、これまで採血などで倒れたことがないかを確認されたのちに、1秒くらい一瞬で注射。これで完了。

針の痛さはほぼ皆無でした。
一方、打った直後くらいからうっすらジンジンする筋肉の痛さ、これが2日くらいずっと続くのでした。なるほど、これが筋注か。「今夜は少し多めに水分を摂ってくださいね」と一言いただいて退室。

接種後はシールみたいなのを貼ってもらって、
それから15分広場の椅子に座ってアナフィラキシーチェック。
会場出る前にもう一枚、modernaワクチンの注意事項のペライチをいただいて帰宅(ラボに。)。


その日はなんとなぁく腕が痛いかなぁくらいで1日が終わりました。
確かに夜寝る前くらいはやや腕の挙上がしんどくなってきたかも、寝ている時、寝返りとかはなかなか打てなかったですね。


1日後:話に聞いていた通りですが、一番辛かったのはこの日。辛いと言っても、腕の挙上が
困難だというくらいですが。それでも、「筋肉痛のもう少ししんどいバージョン」くらいのものでしたが。何が一番辛かったって、Tシャツの着脱でしょうか。この日も寝返りを打つにはしんどいかなぁくらい痛い。

それでも、だからと言って日常生活に致命的な何かがあったかといえばそうでもない。

その他の症状として、うっすら感じたのは、微熱と倦怠感かな。これもおおよそP3試験の結果通りの副反応ですが。。
①体の火照り:なんとなく熱いなぁポカポカするなぁって感じが1日続きました。1日目の夜に熱を測ったら37.3度、確かに微熱だった!まあ免疫反応起こしてたり正常に炎症起こしているのならよしと。仕事できないほどしんどいとかもなく、本当に気持ち熱いかな、くらい。

②薄い倦怠感:いつもの仕事効率を100とすると、85くらいには落ちるかも?という程度のだるさ。でも熱さの割にだるさは大きくないし、不思議な感覚でした。

③尿の黄ばみ:これが僕特有かも。まあ免疫反応を起こしてうすら風邪ひいていたと考えれば妥当かもですが、尿はこの日黄色いことが多かった気がする。そしていつもより2回分くらいは頻尿だった気がする。水を多めに摂取することを意識したからか。


2日後:この日になると、副反応はほとんど気にならない。腕だけわずかにまだ痛いですが、全然もう平気。逆にモデルナアーム(腕の腫れ)が引くのかどうかが心配になるくらい。注射した位置から3-5cm程度下部に、ぽっこりと腕の膨らみが出てきててこれが気になった。


3日後:もうほとんど腕の痛みは無いも同然。そりゃどっかにぶつけたりしたら痛いでしょうけれど。。ってくらい。一方、腕の腫れはほんの少し(腕まくりをしていたら)まだ確認できる。

4日後:つまりだいたい100時間後ということですが、8月9日にはモデルナアームというべき腕の腫れもほぼ完全に引いて、痛みもなし。

ワクチン接種2回目 (9月日)

摂取日あたりにまた書きます。to be continued


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参考文献
1.
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参考URL
<●●について>
次のURLを参考にさせていただきました。

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関連書籍