2021年1月18日月曜日

ワクチン関連話題:mRNAワクチン、HPVやワクチン忌避(Vaccine Hesitancy)について

ワクチン関連話題:HPVやワクチン忌避(Vaccine Hesitancy)について


ワクチン関連について、所々の視点から考察したいと思います。

新型コロナウイルスのmRNAワクチンに関連した話題もぼちぼちあがるかもしれません。


目次



1. HPV ワクチン

2. mRNAワクチン

3. ワクチン一般論

4. ワクチン開発

5. その他ワクチン時事

99. Key Person


1. HPVワクチン関連

法律上の「因果関係」という言葉について
法律上の「因果関係」とはどのようなものかについてですが、簡単に言うと、さまざまな事実(原告の主張、被告の主張、それを基礎付ける科学的な資料など)を客観的に見て、総合考慮したうえで「8割〜9割でワクチンと副反応に相関関係がありそうだ。」と裁判官が思った場合に「因果関係がある」と認定されます。

●医療者からのnarrativeとしてはこんな意見もある 21.03.30.

未だ副反応と思われる症状で苦しんでいる人たちが裁判で争っているのに、その副反応の問題について十分触れない状態で無償接種への動きや報道がなされていることについて原告(被害者)はよく思っていないようです。
私は、コロナワクチンの前例のような形でHPVワクチンが取り上げられ、無償接種が再開され、また同じように副反応で苦しむ人が出てしまうのではないかをとても心配しています。

・NEWS ZEROの報道では、症状として「麻痺、頭痛、しびれなど」としか取り上げていませんが、実際原告が訴えている症状はもっと多種多様です。上記に加え、痙攣、失神、歩行困難、怠すぎて朝起きれない、月経不順、視力障害…

記憶障害(覚えられない)、簡単な計算ができない、字が読めない(文字が読めず真っ白な神と認識されてしまう、ひらがながアラビア文字のように見える)…

今私が知る限りで上げれるだけでもこれらの症状を聞いたことがあります。

・ 法律上の「因果関係」とはどのようなものかについてですが、簡単に言うと、さまざまな事実(原告の主張、被告の主張、それを基礎付ける科学的な資料など)を客観的に見て、総合考慮したうえで「8割〜9割でワクチンと副反応に相関関係がありそうだ。」と裁判官が思った場合に「因果関係がある」と認定されます。


大学生ら子宮頸がんワクチン無料接種求める 21.03.30. Yahoo News.

子宮けいがんを予防するワクチンについて、接種についての通知が来なかったために接種できなかった大学生らが、無料接種を求める署名を国に提出しました。

接種を呼びかける通知が届かなかった人が、今、接種すると4万円から5万円かかるため、大学生らが無料化を求め、インターネットで集めた3万を超える署名を田村厚生労働大臣に提出しました。


●MHLW がん対策推進協議会 21.03.11. 
HPVワクチン接種が積極的勧奨になっていない現状について、
(1)何が明らかになれば次の判断がされるのか
(2)厚労省として、今後HPVに対するがん対策はどうするのか
の2つの質問に対して回答がありました。

(1)積極的勧奨となるには国民の理解が欠かせない
    ◆いくらエビデンスがあっても、国民からの理解が得られないなら厳しい

(2)積極的勧奨しない
    =個別通知による推奨をしないだけ
    ×接種することをお知らせしない
    ×定期接種にしない
→十二分な情報提供のち、本人に選んでもらうのが現方針。積極的勧奨するかどうかは今後の検討事項である

現状は個別の通知をしないだけであることや今後定期接種への活路が残されている。

- 子宮頸がんの95%以上はHPV感染が原因、ほとんどが性交渉後に前がん病変を経てがん化
 Nat Rev Dis Primers. 2016[PMID:27905473]
- 日本では2013年4月;予防接種法で定期接種に。対象年齢の女性は無料で接種可能
- 同年6月:MHLWからは積極的推奨一時差し控え
- 定期接種率は70%→0.6%に Lancet.2015[PMID:26122153]

HPVワクチン接種で子宮頸がんリスクを88%減少 20.10.05.
「HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical Cancer(HPVワクチンの接種と浸潤子宮頸がんのリスク)」,NEJM, 2020.

- 前がん病変予防の効果は以前も示されていたが、今回は「浸潤子宮頸がん」も防ぐ事が明らかになった
- 研究グループは、スウェーデンの10〜30歳の女性167万2983人について、この4価ワクチンの接種歴と浸潤子宮頸がんにかかったかどうかを、2006年から2017年までの間、解析した。
- HPVはセックスの経験がある8割の人が感染するありふれたウイルスだ.
がんに進行するまでは10年前後かかるため、接種が始まって日の浅いHPVワクチンでは、異形成を防ぐ効果は観察されても、がんを防ぐ効果があるかまでは確認に至っていなかった。

- 日本;小学校6年生から高校1年生までの女子を対象に、公費で接種できる定期接種

ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の対象者等への周知に関する
具体的な対応等について (MHLW) 2020.10.09.


2. mRNAワクチン関連



ガラクタウイルス仮説
コロナウイルスRNAには、多数の突然変異が蓄積されていると言うことです。

デルタ株を例に取ると、ウイルス感染にかかわるスパイクタンパク質遺伝子に限って、約10ヶ月で13個の塩基置換型突然変異の蓄積が指摘されています(米国微生物学会、2021年7月)。

1273アミノ酸で構成されるタンパク質であることを考えると、30000塩基の長さのコロナウイルスRNA全体では、概算として120〜150個の突然変異が蓄積されていると考えられます。突然変異の蓄積は、コロナウイルスを強毒へと導くことはほぼ無い、むしろ脆弱へと導きます。

ガラクタウイルスというのは、正常ウイルス外被の中に機能喪失のガラクタRNAが取り込まれたウイルスのことです。生成の仕組みを説明します。感染に関して正常なデルタ株RNAがヒト細胞に感染します。複製を繰り返して+鎖RNAを作るのですが、この時、正常RNAのほかに、低い確率ではあるが、複製の間違いで、切れたRNAとか、大きな突然変異が挿入されたRNAなど、多種の「ガラクタ」RNAも作られます。

もしガラクタウイルスが過剰にあると、隣接細胞の受容体が外身は正常なガラクタに先に占拠されてしまいます。すなわち、感染機会を逃した正常ウイルスは死滅してゆくことになります。陣取り合戦に負けたと言うことです。そして、デルタ株は消えて行きます。

RNAi仮説
RNAiに対して、ウイルスの側は、RNAi抑制(suppressor)タンパク質を保持して対抗しています。つまり、ウイルス感染というのは、RNAiとRNAi抑制とのせめぎ合いと言うことになります
あるレベルの突然変異蓄積で、RNAiの攻撃が抑制の防御に勝る状況となり、感染の波が沈静化します。つまり、デルタ株は死滅したわけです。


こちらの仮説、公開するにはやや乱暴な気がする。
あまりにも飛躍というか、空想の上の空想があったりするので、証明すべき事項が多すぎる。
論理的には大丈夫かもしれないですけど。。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は22日、新型コロナウイルスワクチンの承認申請の根拠となる第3相臨床試験など検証的試験の実施方法に関する考え方を公表した。有効性評価は、発症予防効果ではなく中和抗体のデータでも申請を認める。原則として同じタイプ(モダリティ)の既承認ワクチンと比較し、同等以上の免疫原性を求める。複数の治験で同じ既承認ワクチンが対照群に設定される場合は、対照群の共有も可能とする。

 検証試験として求める症例数は、比較する対照群を除いて3000人以上。未感染者・未接種を対象にし、流行国・地域での実施が望ましいとしている。

 対照群には、プラセボではなく承認ずみのワクチンを使用する。同じモダリティ、接種回数・間隔のワクチンを選ぶことを求めるが、類似した既承認ワクチンが存在しない場合などは、異なるモダリティのワクチンも使用可能。

有効性評価は、当初求めていた実際の発症予防効果にかえて、中和抗体価に基づく免疫原性も評価基準として認める中和抗体価の幾何平均値(GMT)や陽転率で評価し、原則として既承認ワクチンと同等以上の免疫原性(非劣性)の証明を求める。非劣性の範囲は中和抗体のGMT比0・67、陽転率の差マイナス10%。


◆ Molnupiravirの合成を3step, 収率60%でできるようになったという報告 21.10.



・錠剤タイプのCOVID-19抗ウイルス剤2種が現在、第3相試験に入っており、SARS-CoV-2感染症を鎮める実証済みの経口治療薬が間もなく登場するという期待が高まっている。

ヒドロキシルアミンを入れている
>COVID-19陽性の人と同居している未感染者を対象に、この低分子化合物のSARS-CoV-2感染予防効果を検証する新たな第3相試験に登録する.




・FDAからCOVID-19の治療薬として承認されている抗ウイルス剤はまだ1種類しかない。ギリアド・サイエンシズ社のレムデシビルは、病院で投与しなければならない注射薬。

・COVID-19の経口治療が実現すれば、医師による病気の管理方法が大きく変わるだろうと述べています。「医師が処方箋を薬局に持ち込み、自宅に配達してもらい、症状が出たらすぐに服用してもらうことができます」と語っています。

・モルヌピラビルの前臨床試験では、他のコロナウイルスにも作用するため、将来のパンデミックに備えるためのツールになる可能性があると葉津田は言います。SARSの流行時には、多くの企業が抗ウイルス剤の開発に着手しましたが、ウイルスの流行が収まると、資金も途絶えてしまいました。



新型コロナウイルスワクチンを開発中の塩野義製薬は、有効性を確認する最終的な大規模臨床試験(治験)を、ベトナムなどの協力を得て東南アジアを中心に行う方針を固めた。3万例の実施を目指す。将来的には生産技術を供与し、アジアでのワクチン供給に貢献する意向だ。

ベトナム以外に東南アジアの国々とも交渉を進めている。政府は国産ワクチンの開発・実用化を急いでおり、アジアで臨床試験のネットワークを作ることで加速が期待される。

アジアでは世界的なデルタ株の流行でワクチン不足が顕著になっており、自前でワクチンを生産・調達する機運が高まっている。塩野義が将来的にワクチンの製造技術を供与することで、国レベルで臨床試験への参加協力を得られる見通しがついた。

国産ワクチンの開発をめぐっては、大規模な臨床試験をどう行うかが課題だ。国内ではすでに米製薬大手ファイザーや米バイオ企業モデルナなどが開発し、承認済みのワクチン接種が進んでいる。国内で今後、数万人規模で未接種者を募り、プラセボ(偽薬)を使って発症予防効果を見ることが難しくなっている。
このため、塩野義は、ベトナムなどアジアでの大規模臨床試験を行うことと並行して、接種後に体内にできる免疫物質を測定し、承認済みワクチンの数値と比較する方法も検討していく。

秋に日本で中規模の臨床試験を実施し、年内に大規模試験を開始、年度内の国内供給を目指している


◆21.05.10. 時点での国立感染症研究所のワクチンについての知見資料;
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/covid19_vaccine_20210510.pdf

[記述内容目次]
●日本で使用中または使用が検討されている新型コロナワクチンの種類、組成、
ベクターについて
● SARS-CoV-2 感染歴のある者に対する接種
● 小児を対象とした新型コロナワクチンの臨床試験
● 有効性の持続期間と今後の接種スケジュールの展望
● 新規変異株に対するワクチン有効性について


・塩野義製薬株式会社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防ワクチン(開発番号:S-268019)の新製剤を用いた国内第1/2相臨床試験につきまして、2021年8月19日付で全被験者60例への初回投与が完了しました。初回投与3日後までに生じた副反応はいずれも軽度または中等度で、安全性上の懸念は確認されておりません。
・開発に取り組んでいるワクチンは、グループ会社のUMNファーマが有するBEVS注1を活用した遺伝子組換えタンパクワクチンです。BEVSにより発現・精製した抗原タンパクならびに、安全性の観点からTh1/Th2バランス注2を重視して選択したアジュバントを用いて、2020年12月より第1/2相臨床試験を実施してきました。Th1/Th2バランスを維持しつつもより高い中和抗体価の誘導が必要と判断し、アジュバントを変更した新製剤を用いて、2021年7月末より国内における第1/2相臨床試験を新たに開始。

注1 Baculovirus Expression Vector System(BEVS):昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術。UMNファーマが有する技術ではバキュロウイルスや昆虫細胞由来の成分・病原ウイルスの混入なしに抗原タンパクの精製が可能

注2 免疫応答を調整する2種類のヘルパーT細胞のバランス。詳細は【Th1/Th2バランスについて】を参照


【Th1/Th2バランスについて】

生体内の免疫応答は、2種類のヘルパーT細胞であるTh1細胞とTh2細胞によって制御されています。Th1細胞が主に細胞性免疫を活性化するのに対し、Th2細胞は主に抗体産生に関わる液性免疫を活性化することが知られています。遺伝的要因や移植手術、ワクチン接種等の外的要因により、これら2つの免疫応答のバランスが崩れると様々な免疫疾患が引き起こされると考えられています。過去に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)に対する研究では、免疫が関与するワクチン関連疾患増悪(VDE)や抗体依存性感染増強(ADE)のリスク低減にはTh1/Th2バランスが重要との考察がなされています。




◆モデルナの方が長期的に効く:medRxiv 2021.




都内の在住者と通勤、通学で訪れる16歳から39歳が対象。接種券と身分証があれば受けられる。予約が不要のため、都には多くの問い合わせが寄せられていたという。

◆新型コロナワクチン接種における薬局薬剤師の活動状況 調査報告書 (日本保険薬局協会医療制度検討委員会 2021年7月15日公開)
https://secure.nippon-pa.org/mail/img/npha20210715.pdf 

◆各学会の共同声明 21.07.29.
https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/pr-activity/20210729-01.pdf

◆新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査) 健康観察日誌集計の中間報告(11), 2021(令和3)年8月4日
・moderna ワクチンの日本人接種者の経過報告
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000816287.pdf

◆ 長野県作成の資料「教えて! 新型コロナウイルスワクチン 」 
https://www.pref.nagano.lg.jp/kansensho-taisaku/vaccine/osiete_pfizer_moderna.html 

◆どういう人々が新型コロナウイルスのワクチンを接種したがらないか:
インターネット調査における検証 21.06.16改定.
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/21j026.html

結果:有効回答者数は 11,846 名で、まだ接種していない人々(11,637 名)のうち、「接種するつもり」は 60.9%で、「まだ決めていない」が 30.1%、「接種しないつもり」が 9.0%だった。「接種するつもり」の人々に比べて、「まだ決めていない」人々は、女性、低学歴者、低所得者、預貯金額の少ない人々、うつ傾向がある人々、やせている人々で多く、高齢者、夫婦のみの世帯、高血圧か脂質異常症の人々、最重視する情報源がテレビ(NHK)の人々、他人を信用する人々、新型コロナへの恐怖が強い人々で少なかった。ワクチンを接種しないつもりと回答した人々は、女性、低学歴者、預貯金額の少ない人々、全般的な不安傾向がある人々、新型コロナへの恐怖の小さい人々、やせている人々で多く、高齢者、夫婦のみの世帯、高血圧か脂質異常症の人々、最重視する情報源がテレビ(NHK)の人々、他人を信用する人々で少なかった。

 

結論:女性、高齢者以外、社会経済状況が低い人々、他人を信用しない人々、うつや不安の傾向がある人々はワクチン接種に否定的な傾向が見られた。


21.06.29. News week

炎症は自然免疫細胞を鼓舞する(活性化する)効果があり、活性化した自然免疫細胞は感染細胞の死骸を食べて掃除する。 

(1年でワクチンが承認されたことを受けて)
これは歴史的な快挙であり、私たちはパンデミックに対抗する際の新しい切り札を得たと言える。このスキームは今後現在のワクチンが効かなくなってしまうような変異ウイルスが現れた場合や、また新しい感染症が発生した時にも第一手になるだろう。

mRNAワクチンは十分な免疫の誘導に2回の接種が必要なため、冷凍設備を整えにくい新興国の人々へ届ける上での大きな障壁となりうる。

(この記事の)筆者はワクチン忌避の問題の解決には幼少期からの科学教育を充実させて「知らないから怖い」を自ら解消できる科学・医療リテラシーを育む必要があると考えている。



新型コロナウイルスワクチンの安全性に懸念を訴える全国の医師ら計450人が24日、連名で接種中止を求める嘆願書を厚生労働省に提出した。

嘆願書に同意したのは国内の医師390人と地方議員60人で、発起人の高橋徳・米ウィスコンシン医科大名誉教授(クリニック徳院長)は同日午後に国会内で会見。

◆ 薬剤師から一般の方々に向けた新型コロナワクチンに関するFAQ 21.06.21.
https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/activities/faq0621.pdf

◆ 薬剤師によるワクチン接種update 21.05.

●21.05.24.
亀田総合病院総合内科の八重樫です。

「薬剤師さんが新型コロナワクチンを接種できるようにしよう!(担い手として)」キャンペーン(http://chng.it/MH9xbnRN)ですが、信じられないほど早く、素晴らしい進展がありました!5月17日の午前、河野太郎ワクチン接種担当大臣にオンライン署名が入ったUSBメモリーをお渡ししてから24時間も経過していない翌朝の会見で、河野大臣が「薬剤師も次の検討対象になる」と明言することで、新型コロナウイルスのワクチン接種の打ち手を確保するため薬剤師の活用を検討することを表明してくれました!!! (下記)
更に、それを受けて日本薬剤師会の山本会長も、「欧米は薬剤師が接種できる仕組みになっているが、日本にはそういう教育がない。(接種に向けた)研修の準備を進めたい。現在、海外の各地域の仕組みを調べており、どれが最も適切かを判断しプログラムを作る」と、準備を進めてくれています(下記)。政府も検討してくれています(下記)。日本医師会も受け入れています(下記)。立憲民主党も21日、薬剤師もワクチンを打てるように法整備などを求める要望書を田村憲久厚生労働相に提出してくれました(下記)。与党からも野党からも、薬剤師さんがワクチンの担い手になることで、政府の目標「1日100万回(接種)」を実現できるよう動いてくれることはありがたいことです。


●(参考)厚生労働省医政局医事課 事務連絡(6/11)
新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のための筋肉内注射の臨床検査技師、救急救命士による実施のための研修について
・p.4, p.5に研修スキーム掲載されている
https://www.mhlw.go.jp/content/000792054.pdf


チェーンの保険薬局も、要請があれば積極的に参加していきたいが団体としてやらせてほしいとは言えないといった受け身で対応.経営者団体なので、職能に関する要請はなかなか行うことが難しい.

首藤正一会長は、「非常時なので薬局や薬剤師が役に立ちたいという思いはあり、声を上げていきたいとは思うが、国会議員の方々の声によって実現に向かっていくことはあると思うが、経営者団体が声を上げるのあれば、他団体とも調整をしなければいけないし、自社の職員において実施後に何らかの問題が起きたときの対応も考えていかなければいけないので、“やらせてほしい”と声を上げるのではなく、貢献しなさいと言う要請があれば積極的に参加し、できる限りの協力をしていきたい。海外での薬剤師の関わり方の事例を含め、情報収集をしておくのがよいと思う」と話した。


・新型コロナウイルスワクチンの打ち手に薬剤師が挙がったことを受けて、日本薬剤師会の山本信夫会長は早急に接種に向けた薬剤師向けの研修を実施する方針を示した。


――医師などに対し、薬剤師の位置づけをどう考えるか。
・「接種は薬剤師の本来的な技能ではない。医師や看護師の役割を取ってまでやるものではない。まずはワクチンの希釈や充塡など薬の供給が先にある」


・いま接種業務を担っている医師や看護師、歯科医師とは異なり、薬剤師は医療行為が認められていない。厳格な医師法が立ちはだかる。

・米国や英国といった主要国は薬剤師による筋肉注射を認めている。日本国内でも人手不足を踏まえ、医師や薬剤師の有志から容認するよう求める声が出ている。

・厚労省の迫井正深医政局長は4月22日の参院厚生労働委員会で「現行法上認められていないワクチン接種のための注射を行っていただくことは考えていない」と明言した

-ワクチンの筋肉注射は医学的判断や技術がなければ人体に危害を及ぼす恐れがある「医業」にあたる。打つ資格を持つ者は限られる。医師法17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定める。看護師は「医師の指示」があれば認められる。

-「歯科医業」を担う歯科医師も本来、歯科の業務範囲に入らないワクチン接種は認められていない。ただ、口腔(こうくう)外科などで筋肉注射を打つケースがあり、今回の特殊事情を踏まえて条件付きで違法性を除去するとの見解を厚労省が示した

-仮に今回の特例で接種を認める場合でも、法改正が必要との見方が強い。厚労省幹部は「資格なく打ったら傷害罪になる」と指摘する。



・薬剤師による接種「準備をしなくては」、研修会にも言及  日薬・山本会長、前向き姿勢を強調 5月12日
https://pnb.jiho.jp/tabid/68/pdid/29773/Default.aspx

・署名24,000人以上


ー河野大臣から現状に関してたくさん質問があったことを受け、後日、追加資料を渡すことにしたという。
 例えば、カナダの薬剤師が1日で、どのくらいの時間のワクチンのトレーニングを受ければ実際に接種できるのかや、英国で今回のコロナワクチンをボランティアが接種できるようになる資料など、海外におけるワクチンの接種の担い手に関する資料も提示する予定。



◆東海地域のワクチン職種別接種 21.06.03.

課題とされるのが、会場と接種する医療従事者の確保です。これについては、各企業や大学でそれぞれ確保することとされています。6月21日から始められるかどうかにも、この部分が大きく影響しそうです。
 東海3県の主な企業の対応は、JR東海、名鉄、東邦ガスは日程や会場などは未定ですが、いずれも「前向きに検討」と回答。中部電力は「決まったものはない」としています。
 約7万5000人の従業員がいるトヨタ自動車は、「実施する方向で検討している」としています。まだ日程や会場など、具体的なことは決まっていないということです。
◆ 内田先生のワクチン講座 21.06.
https://youtu.be/gIt3hY6Q3tk

国産ワクチン開発を手がける塩野義製薬の手代木功社長は10日の決算説明会で、偽薬と比較する形での大規模治験の代わりに、国内ではワクチン投与後の血液中の抗体価(抗体の量)や免疫反応で有効性を確認できないか、厚生労働省などと協議していると説明。

日本人に対する安全性も確認の上、海外での実施を検討する第3相治験の完了前に「条件付き早期承認」で前倒しで実用化できないか提案しているとし、これらが認められれば、国産ワクチンの年内の供給開始は可能とした。



・Pfizer-BioNTech社製とModerna COVID-19社製のワクチンの違いは小さい。しかし、Moderna COVID-19はPfizer-BioNTech製のものよりも輸送、配布が容易であり、さらに重要なのは医療従事者による取り扱いや保管が容易であると思われます。これらの小さな違いが、前例のない世界規模の予防接種キャンペーンで展開される際に、この2つのワクチンの比較的な成功に大きな影響を与える可能性があります。









ヤンセン(ジョンソン・エンド・ジョンソン)のワクチンは、全く異なる技術(ウイルスベクター, AV)を使用しており、組成も大きく異なっています。また、冷蔵庫で保管でき、1回の投与で済むため、取り扱いが容易であると思われます。





申請の根拠となる結果
https://www.janssen.com/japan/press-release/20210201 

◆薬剤概要のほかに,世界の接種状況,医療従事者の先行接種記録などの情報。
第21回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(2021年5月21日開催) 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192554_00009.html



2回きちんと打てた場合には、9割強で抗体は獲得できそうな結果。
日本人のワクチン接種者111名(未感染105名、既感染6名)を対象に、ファイザー製ワクチンの有効性について、中和抗体(液性免疫)の保有率という観点から調査。
独自の迅速抗体測定システム「hiVNT新型コロナ変異株パネル」を活用して、従来株および変異株7種の計8株に対する中和抗体を測定。
(結果)
未感染者でワクチン2回接種した人のうち、99%の人が従来株に対して中和抗体を保有していた。流行中のN501Y変異を有する3つのウイルス株(英国、南アフリカ、ブラジルで初めて確認された株)に対しても、90~94%の人が中和抗体を有していた。懸念されているインド由来の株に対しても中和抗体陽性率が低下するような傾向は見られなかった。
※インド株:97%の人が中和抗体発現

 

(補足)
計8株すべてに中和抗体陽性であった人は全体の約9割(93/105; 89%)であった。
中和抗体の上がり方については個人差が見られた。特に1回接種のみでは、変異株に対して中和抗体が産生されない人が一定数存在した。
※ 1回目の接種後では、イギリス株は18%、南アフリカ株は21%、ブラジル株は16%、インド株は37%の人にとどまり、従来株は57%であった(補足)
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【原論文(査読前)】
Rapid detection of neutralizing antibodies to SARS-CoV-2 variants in post-vaccination sera  (medRxivにて2021/5/10公開) 



◆ スギ薬局 / スギホールディングスの優先接種の話題 21.05.
このような優先接種なりの問題が起こるのはひとえに、【誰が優先接種すべきか】というプライオリティをつけていないことに尽きる。これは町長が先に接種すべきか?みたいな話と極めて酷似している。
その結論はすでにNEJMの以下のarticleで示されている通り。

N Engl J Med 2021; 384:e15

こういう問題が起こることって、普通に去年の今頃くらいにはわかっていたはずです(少なくともワクチン開発の話が出たら優先順位のことくらいすぐ頭に浮かぶくらいのフロネーシスは持っていてほしい)。

遅くとも今年頭くらいからは諸外国で同様の問題も出てきていたので、【優先順位をつけることの大切さ】は行政側である程度わかっていたのに、なんでこうなってしまったんだろうと。

町長が先に手をあげて接種するのはどうか?みたいな議論も抽象化すれば全く同じ論法でメディア沙汰がおきているわけですが、このような問題が起こるのは実はめっちゃシンプルで、ひとえに【あらかじめ優先順位を決めていたなかったこと】に尽きるのだと考えています(上のNEJMで述べられている通りです)。

この問題がおきてしまう原因についてですが、僕は完全にスギの責任ではないかもしれないと考えています。行政側が【誠に遺憾】と言っているのに対して、このニュースにはポールファーマーのいう構造的暴力のような一面もあるのではないかと思います。つまり、【誰が優先接種すべきか】をあらかじめ(もう1,2レベル解像度高く)決めていたのであれば、スギはこのような問題を起こさなかったのではないか、ということも考えうるのです。(もちろん、スギ側の倫理観の欠如も非難されるべき対象ではありますが)



 市は集団接種の予約枠について、コールセンターへの電話とホームページ、公式LINEで受け付けている。10日の接種は6日に受け付けたが、当日は6時間で枠が埋まるほど予約が殺到。一方、杉浦夫妻の分は、6日に市健康課へ直接電話すれば予約が完了するように便宜を図ったという。
 本紙が10日に取材し、市は同日、急きょ夫妻の予約を取り消した。近藤副市長は「市民に不信感を抱かせるようなことをした。最前線で働く市職員にも申し訳ない」と謝罪。中村健市長の関与は否定した。



愛知県西尾市在住の杉浦広一会長(70)と妻の昭子相談役(67)が優先的に新型コロナウイルスのワクチン接種をできるよう、西尾市が便宜を図った問題で、スギHDと市側の電話でのやりとりは計10回程度に上ったことが分かった。西尾市の担当部長は11日の記者会見で「断っても、何度も(依頼の電話が)来る状態。どうしようもなく副市長に相談した」と述べた。
・スギからの経緯説明文:
今回の案件に至った背景として当社相談役が肺がんを患い大きな手術を経験しており、 一日も早いワクチン接種をと慮った当社秘書が西尾市役所様にお問い合わせをさせていた だいとことに端を発します。その使命感ゆえに何度かお問合せを繰り返ししたことについ てご迷惑をおかけしたと考えております。 また会長杉浦自身は過去にアナフィラキシーショックを経験しており、ワクチン接種は 希望しておりません。

https://www.sugi-hd.co.jp/important/pdf-cms/c3d4e716be86c9c5dd209d0bbe4163d0c43c099f.pdf


◆IDATEN メーリスその他 21.05.08.
薬剤師さんに筋肉内注射のトレーニングをしてから接種の”担い手”として活躍してもらえれば、新型コロナワクチンの接種が圧倒的に早く進みます。英国はトレーニング受けたボランティアが新型コロナワクチンの接種をしているので、医学的な知識がある薬剤師さんが接種(筋肉内注射)を担当することは問題ありません。日本ではワクチンの接種が他の国に比較して圧倒的に遅れています。現在1回でもワクチン接種済みの方が日本の全人口の2.44%でありOECD加盟37ヶ国で最低で、イスラエルでは全人口の62.59%、英国は51.46%、米国は44.69%が接種済みと、ワクチン接種に積極的に取り組んだ国と大差があります(下記2)。現在、米国では1日約300万人に接種しています。ワクチン接種が進んだイスラエルは、多いときで1日10000名程度の新規感染者がいたものの、現在は1日63名程度です(下記3)。

日本のコロナワクチン接種回数は、過去最大の5/6(1日で33万回)のペースでも1週間で165万回と少なく(下記4,5)、みずほ総研による試算(下記6)の週300-400万回接種よりも少ないです(米国は最多で1週間で2240万本です)。その試算どおりにいっても、日本全体で1日に医師が11209名、看護師が28022名必要で、集団免疫に必要な人口の7割の接種ができるのは、来年2022年3-6月です。

接種の担い手が少なくて国民がワクチンを接種できない状況を改善するために、薬剤師さんがワクチン接種できるようにする必要があります。ただ、現状では法改正しなければ薬剤師さんによる接種は違法行為となります。この有事を乗り切る際に法改正が必要です。

2. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/18/dl/gaikyo.pdf
3. 世界各国のワクチン接種割合(少なくとも1回接種した人)(NHK) 


◆米国ワクチン開発の知的財産権の一時的な廃棄 21.05.07.

利益<<パンデミックへの対応・協力の方向性を示す.
一方、特許を放棄したところで生産体制が追いつかず、総じてさほど効果がない、むしろ技術の伝播につながり悪用等の危険性はないかといった指摘もある.

https://jp.mobile.reuters.com/article/amp/idJPKBN2CM2BV

◆ The EMA covid-19 data leak, and what it tells us about mRNA instability 21.03.
個人的には衝撃なのですが、Pfizer mRNAワクチンの純度70%程度らしいです. 基礎研究レベルでも突っ込まれる純度の低さですね。RNAseとかでdegradeされてるならバラバラになった核酸が投与されるので、結構炎症とか免疫反応起きるのも納得です…
https://www.bmj.com/content/372/bmj.n627


・図1 ボナックが開発を進める一本鎖RNAの概念図 
同社独自の原料であるアミダイトを使ってSARS-CoV-2を標的にした一本鎖RNAを合成した。この一本鎖RNAはセルフアニーリングさせて二次構造が形成される。折り返しの部分にはアミノ酸であるプロリンを使っており、核酸分解酵素による分解を受けにくくさらに自然免疫応答が誘導されにくい特徴がある。この二次構造を持った一本鎖RNA製剤が細胞内に入るとRNA干渉(RNAi)というもともと正常細胞が持つ作用を使ってウイルスRNAを分解に導く作用があると期待されている。




新型コロナワクチンを接種する医療従事者が全国的に不足する中、ワクチン接種を円滑に進めるため、薬剤師もワクチン接種ができるよう全国知事会等で荒井知事が発言し、4月20日付けの関西広域連合の「新型コロナウイルスの感染急拡大を受けた緊急提言」にも盛り込まれました。

報道資料:http://www.pref.nara.jp/secure/247057/20210421houdouyakuzaisi.pdf


◆ワクチン希釈の手順(医療者の方へ, コミナティ), 千葉大学病院 21.04.03.
https://youtu.be/t_fXcZHbuvY

 ウイルスの人工合成は、大腸菌にウイルスの遺伝子を組み込んで複製を作る方法が一般的だ。しかし、新型コロナは遺伝情報が多く、そのままの状態で複製すると予期しない変異が起きやすい。このため限られた研究者しか合成できず、時間もかかっていた。



現行法上、ワクチン接種は原則として医師や看護師に限られている。歯科医師は歯科治療の範囲内でしか注射が認められていないが、特別の事情があると判断すれば違法ではなくなるとされる。(集団接種の際の特例)

歯科医師による接種は、市区町村が医師や看護師を確保できないと判断した場合などに限って認める方向だ。集団接種会場での接種を想定しており、個別の歯科医院での接種は認めない。
事前研修を課すことも検討している。

コロナウイルス低分子薬の非臨床に進む前の条件  21.04.12.

副作用が少ない、SARS-CoV-2 RNAポリメラーゼに対する選択性が高い(他のRNAポリメラーゼに対してはほぼ阻害しない)、動物での動態の確認(できればサルも)、動物モデルで薬効確認(齧歯類)、初期毒性試験の実施(齧歯類)、経口投与可能(できれば)、肝ミクロソーム代謝安定、代謝酵素阻害作用がない、hERGなし、変異原性なし等)


厚労省のUIUXが良いver.


・この調査は行動経済学が専門で大阪大学の大竹文雄教授らのグループが行いました。
・1万2000人を対象にインターネットを通じたアンケートを行い、このうち優先接種の対象となる65歳以上の2200人余りのデータを分析しました。
・接種を希望すると回答したのは全体の76.5%に上りました。
・国内の感染者数が減少傾向にあることから、感染者数が少なくなった想定で、どういった要因が接種に影響するかを調べたところ、同年代の10人に1人が接種している状況だと接種を希望するのは71.1%だったのに対し、同年代の10人中5人が接種している状況では希望者は78.6%に増えていたということです。

・多くの人が接種しているという情報を受け取ると、自分も接種したいという意欲を持つことが分かった。実際に何人が接種を受けたのか積極的に広報することが、ワクチンの後押しになるのではないか」

◆2021 年 1 月 18 日~22 日に合わせて1万2000人へワクチンに対する意識調査がなされました。そのうち2200人(65↑)を対象に解析した結果がトピックに上がりました
考察要点(政策的合意)
既に一定数の高齢者が接種する意向を持っている可能性があり、彼ら・彼女らの意向を阻害せずに円滑に接種につなげるための施策が重要である。

早期に接種しやすい高齢者は外出ニーズが高い可能性があり、接種後も引き続き、感染予防の遵守を呼びかけることが重要である。

円滑な接種につなげるための施策の候補として、複雑な予約システムの回避や、接種の 先延ばしを防ぐための行動経済学におけるコミットメント手段の活用がある。

接種件数の積上げと増加傾向の見える化が重要である。また、多くの人が接種する意向を持っていることや、自分自身の接種行動に他の人の接種を促す可能性があることを 伝えるメッセージの活用を検討する価値がある。
ワクチン接種 65歳以上 “周りが接種すれば希望者増加” 阪大
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210228/k10012890001000.html

ワクチン接種意向の状況依存性: 新型コロナウイルス感染症ワクチンに対する支払意思額の特徴とその政策的含意, 独立行政法人経済産業研究所(佐々木周作, 齋藤智也, 大竹文雄)
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/21j007.pdf


アナフィラキシーとして8人報告。
(2021/3/8時点、288施設計70796例接種)

新型コロナワクチン接種後にアナフィラキシーとして報告された事例の一覧 (令和3年2月17日から令和3年3月8日までの報告分)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000750348.pdf
新型コロナワクチンの接種実績(2021/3/8)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_sesshujisseki.html 

◆Lipids for COVID-19 mRNA vaccine, C&EN Feb. 2021
【mRNA vaccineに用いられるLipid Nano Particle (LNP)は4種からなる】

1:ALC-0315     ...カチオン性のLipid. ⊖チャージのmRNAをencapsulateする。
                               これが一番大事な添加物であるが、10 steps の合成が必要.
            最も合成が大変で、large scale製造には数ヶ月要する
2:ALC-0159     ...Pegylated Lipid. 粒子の生存時間とサイズを調節する
3:DSPC            ...LNPの構造維持に関与するリン脂質. DiStearoylPhosphatidylCholine
4:Cholesterol   ...同じくLNPの構造維持に関与


ALC-0315




◆Janssenのコロナワクチンに関してFDAの審査報告書です。
日本への言及:p14とp60(特にp60)

(p60より抜粋 中間解析結果 日本語訳)
20歳ー55歳の健康成人250名に対するphase1試験(福岡)で
接種開始から29日後にSARS-Covに対する中和抗体が誘導され、安全性に関しても問題なかったと報告あり

全試験内容の解説等はDIに精通する先生方にお任せしたいと思いますがJanssenのワクチンもかなり有効性が期待できる?

〈FDA審査報告書原文〉
https://www.fda.gov/media/146217/download

◆J&J製のワクチンが、FDAで遂に緊急使用許可。21.02.28.

・日本への流通の可能性は現時点では不明瞭(?)
・1回接種ワクチン候補は-20℃で2年間安定保存可能と想定される
・少なくとも3ヵ月間は2~8℃(36°F–46°F)で安定保存可能

要点(中間解析資料より引用)
●ワクチン候補接種後28日以降での中等症から重症のCOVID-19感染症予防の有効率は、米国で72%、全体で66%
●ワクチン候補接種後28日以降での重症疾患の予防効果は全体で85%、COVID-19感染症による入院及び死亡に対しては被験者の全員に予防効果を確認
●地域、年齢にかかわらない重症疾患の予防効果と、南アフリカで検出されたB.1.351系統由来のSARS-CoV-2変異株を含む複数の変異株に対する重症疾患の予防効果を確認
cf. ジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの発注状況
イギリス:3000万回分
欧州連合(EU):2億万回分
カナダ:3800万回分
COVAX加盟国:5億万回分

〈ニュース〉
接種1回のジョンソン・エンド・ジョンソン社ワクチン、米当局が承認(BBCニュース,2021/2/28)
https://www.bbc.com/japanese/56227367.amp

〈J&J資料〉
ジョンソン・エンド・ジョンソン、第3相ENSEMBLE試験の中間解析において ヤンセンの1回接種COVID-19ワクチン候補の主要評価項目達成を発表, 2021年2月1日, ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ)
https://www.jnj.co.jp/media-center/press-releases/20210201


新型コロナウイルス感染症対策分科会(会長=尾身茂)から「緊急事態宣言解除後の地域におけるリバウンド防止策についての提言」が公表

提言資料6-8枚目が特にわかりやすく記述:新規感染者が落ち着き始め緊急事態宣言解除も視野に入る今、解除後の感染対策の緩みを警戒している。
会食は同居家族以外ではできればいつも近くにいる4人までにすること
卒業旅行や歓送迎会は控えて、花見も宴会無しで行うこと etc...
〈資料〉
緊急事態宣言解除後の地域におけるリバウンド防止策についての提言 令和3年2月25日(木), 内閣官房, 新型コロナウイルス感染症対策分科会
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/ribaundoboushisaku_teigen.pdf

〈薬剤師国会議員からの発信〉
「新型コロナウイルス感染症対策分科会」から「リバウンド防止策についての提言」が公表されました, 本田あきこ参議院議員
https://www.honda-akiko.jp/news/9523.html


感染自体も予防、リスク85%減 ファイザー製ワクチン―英, 時事ドットコム, 2021年2月23日)

Pfizer製ワクチン接種がイギリスで開始(2020.12〜)されましたが、その後のフォローアップにてワクチン接種がCOVID-19感染そのものを予防できたとする初期データを公表されました
同報告では接種回数と感染リスクについて
1回接種→感染リスク70%↓
2回接種→感染リスク85%↓

と、2回接種が原則ではありますが、1回接種のデータも拾えているのがリアルワールドデータの強み。

〈原文〉
Effectiveness of BNT162b2 mRNA Vaccine Against Infection and COVID-19 Vaccine Coverage in Healthcare Workers in England, Multicentre Prospective Cohort Study (the SIREN Study)
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3790399


◆第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料 21.02.15.
 ワクチンのリーフレット(接種後一般向け、医療従事者向けや添付文書などについて)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192554_00004.html 

【ファイザー社P3臨床試験の論文より】


◆N Engl J Med 2020; 383:2603-2615
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2034577

【ワクチンの概要】
ー筋注
 ・1 vial (0.45ml) contains at least 5 doses of 30 ug of BNT162b2 RNA (embedded in lipid nanoparticles).

ー注射後は30min 静置(アナフィラキシーを見る)
ー頭痛、肩の痛み、倦怠感などが有害事象として有意に見える
 →この辺は免疫応答による自然な反応と考察されている
ー注射部位の痛みもplaceboよりかなり多い。これは理由不明らしい


■ファイザーのワクチン 接種6回の予定も採取は5回分のみ 厚労省 21.02.10.
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210209/k10012858221000.html

日本は6回→5回に変更



アメリカの製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省はこれまで1つの容器で6回の接種を予定していましたが用意した注射器では5回分しか採取できないことを明らかにしました。


このため、ファイザーが現在、計画しているワクチンの供給量では日本で接種を受けられる人数が計算上、17%減少することになります。

6回分を採取するためには別のシリンジが必要で、十分な数を確保できるめどは立っていないということです。 


世界でワクチン争奪戦が激化、国産ワクチンの重要性高まる…開発遅れる日本企業に政府が支援強化 21.02.10.

政府は、新型コロナウイルスの国産ワクチン開発支援を強化する。世界でワクチン争奪戦が激化し、各国の囲い込みにより供給が滞る事態が懸念される中、国産ワクチンの重要性が高まっている。効果や副反応を調べる大規模な臨床試験の費用を国内メーカーに補助し、実用化の加速を図る。

 → 政府は、2020年度第3次補正予算に関連費用1200億円を計上した。



【ケムステより転載】


●mRNAワクチンでは病原体タンパクの遺伝子をヒトの体内へと送り込み、ヒトの細胞内で病原体タンパクを作らせる。送り込んだmRNAや作られた病原体タンパクによって免疫を活性化させることができる。

●作られるタンパクだけでなく、投与した核酸分子も免疫の活性化に寄与するため、液性免疫だけでなく細胞性免疫も活性化することができる。また、対象の病原体が変わってもDNAやmRNAを書き換えることで他の病原体にも応用ができるため、汎用性が高い技術である。

●mRNAワクチンは細胞質に輸送するだけでよい。DNAワクチンの場合、
 DNAからmRNAへの転写を行うために、DNA分子を細胞核まで輸送しなければならない

●送り込んだRNA分子が翻訳に関わる分子にうまく認識してもらえるよう、天然のmRNAと同じ配列構造(5’キャップ構造、3’ポリA配列など)を持たせる必要がある。
 簡単に分解されてしまわないための工夫です(外来RNAは免疫システムに認識される)。

ケムステより転載.

修飾型のヌクレオシドが利用されているのがポイント。
修飾型ヌクレオシドを利用すると、mRNA分子が酵素による分解を受けにくくなる。
mRNA中のウリジン(U)を修飾型のスードウリジン(pseudouridine)に置き換えると、免疫原性やmRNAの分解が抑えられ、高効率で目的タンパクの翻訳を行えることが知られている。

5’キャップ構造
mRNAの5’末端には、7-メチルグアニル酸(m7G)という化学構造(5’キャップ構造)が結合している(図6)。この構造のおかげで、mRNA分子が酵素(エキソヌクレアーゼ)による分解から守られたり、翻訳開始因子のmRNAへの結合が促進されたりする。そのため、mRNAワクチンとして用いられるRNA分子にも、5’キャップ構造が結合したものが用いられる。

しかしながら、5’キャップ構造をもつRNA分子の合成には工夫が要る。in vitroで鋳型DNAからmRNAを合成する際、7-メチルグアニル酸(m7G)側からもmRNAが合成されてしまう。キャップ側から合成されたmRNAはうまく翻訳されないため、全体の翻訳効率が半減してしまう。これを回避するため、7-メチルグアニル酸(m7G)の糖の3’位のOH基がメチル化された修飾型のキャップ構造(ARCA; anti-reverse cap analog)がよく用いられる(図6)。

ポリA配列
ポリA配列は、mRNAの分解や翻訳効率にとって非常に重要である。ポリA配列があると、酵素によるmRNAの分解が抑えられ、mRNAの寿命が延びる。また、ポリA配列はタンパクを介して5’キャップ構造と相互作用し、ループ構造を形成することで、翻訳の調節やmRNAの安定化を行っている。ポリA配列は、長さに応じて翻訳の促進・抑制のいずれにも働くため、mRNAワクチンの開発においては最適な長さに設定する必要がある。

●よく用いられているのは、mRNAを脂質分子で包んで輸送するという方法である(図9)。負に帯電したmRNA分子をカチオン性の脂質分子で内包して脂質ナノ粒子(LNP; lipid nanoparticle)を作り、エンドサイトーシスによって細胞に取り込ませることで、mRNAを細胞内に届けることができる。混ぜる脂質の種類や比率、添加物(塩や高分子)、混ぜる温度や順番によって、形成される構造体の大きさや安定性、細胞内への輸送効率、免疫原性などが変化し、mRNAワクチンの効能に大きく影響する。


https://www.chem-station.com/chemglossary/biochem/2021/01/mrnavaccine.html


発信元は宇都宮市薬剤師会らしく、集団でのワクチン接種においてワクチンを希釈する作業があって、そこに薬剤師が人員として組み込まれているので、協力のために準備態勢を整えようということでした。

各ワクチンの取扱いについて(ファイザー➁)
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000726454.pdf
(ファイザー新型コロナウイルスワクチン医療従事者専用サイトへのリンクあり)

上記資料から抜粋したもの








3. ワクチン一般


■【HGPI政策提言】2021.06.15.
「ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策」5つの視点と具体策
https://hgpi.org/research/vaccination_20210615.html 
https://hgpi.org/wp-content/uploads/Recommendation_Consolidated_Vaccinations_JPN.pdf



視点1:ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策の推進をすべきである
視点2:医療従事者と市民を対象にした普及・啓発活動やコミュニケーション戦略を構築すべきである
視点3:科学的根拠に基づいた政策決定や評価に向けて、予防接種の実施と対象疾患の発生に関する情報システムを連携し、疫学的な効果を分析および共有できる体制づくりを推進すべきである
視点4:マルチステークホルダーでワクチン政策に関する議論を継続的に行える体制づくりを進めるべきである
視点5:平時や有事を考慮し、未来のワクチン需要を見据えた予防接種政策への投資を促進すべきである


ワクチン信頼度 不健康と思っている人ほど低い 大学が調査|NHK 首都圏のニュース

自覚的健康感(self-rated general health conditions)が低い人(=持病ありや喫煙者)ほど、ワクチンの副反応に不安を覚える人が多い
こと→重症化リスクが高い群よりここに着手していかなければならない

 例)副反応に関する情報まるまる公開し、それを積極的に情報提供する
      ×厚労省のサイトに載せて終わり

この自覚的健康感とワクチン接種の関連は和田先生が2015年に調査した研究(資料二つ目参照)にもあって同様な傾向がみられる. コロナワクチンだけでなくHPVワクチンなど、今後予防接種の問題を考えるで参考にできる部分が多い文献.

Mistrust surrounding vaccination recommendations by the Japanese government: results from a national survey of working-age individuals
(Koji Wada, BMC public health, 2015)
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/track/pdf/10.1186/s12889-015-1772-8.pdf


・昔の間に筋萎縮とかがでたから、日本のワクチンは皮下注射が多い

・ワクチンの臨床試験は、二重盲目になることが稀
 ∵注射部位の痛みや腫れは、本人が「あ、私はワクチンだった」と知覚してしまうから。たとえその知覚が事実と異なる知覚であったとしても、その知覚してしまった事実自体がもう盲目とは言えなくなる。

*なお、例外的に0歳児のワクチンは二重盲目と判定できる 
 ∵判断できるだけの素養がないから。
 なお、この際、親がバレる可能性などは、「親には別の部屋にいてもらう」「親には目隠しをしてもらう」などの方法で消している

・鎮痛薬はプラセボすごく出るらしい

・インフルエンザは注射後15min静置でアナフィラキシーが出ないかを見る

【参考】【必要治療数:NNT number of needed to treat】

ある介入を対象者に行った場合,1人に効果が現れるまでに何人に介入する必要があるのかを表す数字です.たとえば,治療Aを行ったときに,10%の有病率が5%に減少したとします.治療Bを行ったときに,50%の有病率が25%に減少したとします.これらの有病の減少率は何れも50%です.しかし絶対的な値をみると同じとは思えません.そこで,NNTという指標が生きてきます.NNTは1/((介入前有病者数/全対象者数)-(介入後有病者数/全対象者数))で求めます.前述の例ですと,それぞれの実験で100人を対象としていたとすれば,治療AではNNT=1/(10人/100人-5人/100人)=20,治療BではNNT=1/(50人/100人-25人/100人)=4となります.治療Aでは20人に治療すれば1人に効果が現れるのに対し,治療Bでは4人に治療すれば1人に効果が現れるといえるので圧倒的に高い効果を得たことになります.



4. ワクチン開発


●新型コロナのワクチンは「ワープスピード作戦」によって成功 どの製薬会社もプロセスをしっかり踏んだ 21.01.09. IT media business
https://news.yahoo.co.jp/articles/daa64b2096d986bb5054b7bfd584515ab53124cf

 通常はワクチンの開発には10年以上かかるところを、これほどの短期間でワクチンを実用化したのは驚くべきことです。ファイザー、モデルナ、アストラゼネカといったどの製薬会社も、開発、治験など全てのプロセスをしっかり踏んできていて、通過しなければならないプロセスを跳び越す(ワープ)ことはしていません。直列で行うところを並列にすることで時間を短縮したのです。有効性、安全性、信頼性、検査データの透明性、どれをとっても高いレベルのワクチンです。

しかも日本政府は複数の国から複数のワクチンを1億2000万人分確保し、われわれの手の届くところまで持ってきたのは奇跡に近いといっていい。日本ではワクチンが開発できていない中、この2カ月間、行政のしたことは大変な功績だと思います。

今回のワクチン開発で唯一クリアになってない問題点が、接種を受けた人の長期的な安全性の確保です。

メディアが副反応の事例でこうした短絡的なリアクションをして、正しい情報を伝えないのが問題で、これはわれわれ研究者を含めた課題です。

2016年の論文では日本はフランス、ボスニア・ヘルツェゴビナに次いで、世界で3番目にワクチン忌避率が高い国だといわれていました。日本の忌避率が高くなっているのは、子宮頸がんワクチンによる副反応によるものです。

ただ、ほとんどの人はワクチン接種への知識がないため、どうしてよいか迷っている(ヘジテイト)か、怖がっているという状態で、決して忌避しているのではないのです

ワクチン接種によって何を守るのかを自問する必要があると思います。
自分の命を守るだけでなく、家族など周りの人を含めた全ての人を守る意味があるということですね。人口の3割をしめる65歳以上の高齢者は感染すると重症化、死亡するリスクが高い点と、重大だが、100万分の1の可能性しかない治療可能な副反応を比べた場合、リスクよりベネフィットの方が高いと言いたいです。

つまりシートベルトを着用することがワクチン接種と同じ行動なのです。シートベルトをしていたことで死亡につながった事例もありますが、これがワクチンの副反応による事象に近いと思います。


5. その他ワクチン時事



・(mRNA)ワクチンにしても、ウイルスベクターワクチンにしても、日本にそうしたプロジェクトをやるベンチャーや製薬会社がなかったのは、産官学でそうした基盤を育ててこなかったからです。

・また、緊急事態だという割には、緊急時に備える制度が不十分という点もあります。米国では、Emergency Use Authorization(EUA、緊急使用許可)という、通常の薬事承認ではない制度があります。今、日本で接種が始まっている米ファイザーのワクチンなどは、通常の承認ではなくてEUAを受けています。

・そして、後発組にとって厳しい状況が生じます。ファイザーなどのワクチンが急ピッチで進んだことに加えて、現時点で分かる範囲のデータでは、高い有効性が確認されたことです。その結果、後発組が治験のフェーズ3(第3相)に必要なプラセボ(偽薬)との比較をする大規模試験を実施することが難しくなってきています。
∵有効性が確認されているワクチンが既にあるなかで、健康な人にプラセボを接種することは倫理的な観点から難しい

・さもなければ、残された手段は「チャレンジ試験」くらいしかありません。これは意図的にウイルスに感染させて、ワクチンを打った人とそうでない人を比較するという試験です。これも1つの選択肢だとは思いますが、本当に切れ味のいい治療薬がまだない中で、どこまで現実的に可能なのか。英国はチャレンジ試験を許可しましたが、背景にはそこまでしなければ新しいワクチンが出てこないという危機感があります。

・国産ワクチンを提供できない現状では、国民を守るために政府ができる限りのことをして人数分のワクチンを確保するのは正しいと思います。しかし、この先もそれを続けていいのでしょうか。むしろ、世界的に見れば、日本はワクチンを供給する側に立つべきですし、その力はあります。世界も日本にそう期待しているのではないでしょうか。

・(新型コロナの次のパンデミックに備えて)今回はワクチン、治療薬、診断薬の3つがそろうまでに2~3年かかる見込みですが、それを1年でできるような体制づくりを、産業界や学術界も含め国全体として進めておくことが必要でしょう。

ダイセル、新型コロナDNAワクチンを皮内投与…阪大で医師主導治験
20.12.24. 

ダイセルは12月24日、大阪大医学部附属病院が行う新型コロナウイルス向けDNAワクチンの医師主導第1/2相(P1/2)試験で、同社の皮内投与デバイスを使ったワクチンの投与が開始されたと発表した。ダイセルは、同大とアンジェスの新型コロナワクチン共同開発プロジェクトに参画。ダイセルのガス式無針投与デバイスを使った皮内投与により、筋肉内注射と比べて投与量を1/5~1/10に少なくできる可能性があるという。試験では、健康成人20人に対する有効性と安全性を評価する。


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参考文献
1. ミナケアさんのHP. ワクチンその他コロナ関連を説明してくれているサイト
https://www.health-amulet.net/covid19 
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参考URL
<●●について>
次のURLを参考にさせていただきました。

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関連書籍