2021年1月20日水曜日

人生初、原著での国際学術論文がイギリスの化学雑誌(ケムコム, Chem. commun.)に受理(アクセプト)→in press!

二度目になりますが年始初っ端、原著での国際学術論文がイギリスの化学雑誌(ケムコム, Chem. commun.)にアクセプトされました (in press)。

Online版が公開されたので、早速シェアします
https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2021/CC/D0CC07171D
(ただし、無料ではアブストラクトしか見れません...!)




研究コンセプトのご紹介


コンセプトと簡単な結果だけ公開します。

①細胞の表面に「糊」のように自己集合する生理活性分子をもっていた
②これにHalo-tagリガンドと呼ばれるアルキルクロライドリンカーを結合
③Halo-tagタンパク質を融合させた「癌の進行」に関連する3つのリコンビナントタンパク質をとってきた
④これら②と③を系内で混ぜ合わせると、細胞表面に任意のタンパク質を提示できる
 →細胞表面修飾の達成

これでなにをしたのか:
【細胞移植を目指す細胞に対して癌転移様の機能タンパク質を付与し、生着効率をあげる】

細胞移植では、移植した細胞がうまく組織に生着してくれなかったりだとか、宿主の免疫機構から攻撃されて移植細胞が死滅してしまうことが課題です。そこで、移植する細胞に【免疫回避】だとか【細胞死耐性】の機能をもたせてやろうとしました。

最終的には「生着効率をあげる」ところまでは本論文で評価しきれなかったのですが、細胞が自己集合したところが観察できたり、「遊走能・血管新生能」を上昇させることを確認しました。

また、PD-L1を提示させることで「免疫回避能」を付与できたことは、共培養系によるT細胞からのIL-2産生量などといった形で評価しています。


事後所感


博士論文なのに、Chem.commun.かよ!って突っ込むような方も多いとは思います。DC1申請するようなひとたちはマスターでこのくらいの論文なら持ってますもんね。。

いろいろ苦労はしてきましたけれど、リコンビナントタンパク質を創るのに2年かかったこととか、その他もろもろ原因はあります。(そのおかげでタンパクいじるのはだいぶ強くなったと思う。)


でも、人からなんと言われようと論文を形に仕切ったことは自信になりました。ここまで出来なくてドロップアウト・一時企業に逃げた人などなど、たくさん見てきています。っていうのと、アイデアだけだったら結構面白いもののはずだと自身は持っています。


それから、このくらいのアイディアレベルだったら、ここのレベルには出せるんだな、とかわかってきた気がします。1つ出ると大きいですね。まだ、Nat姉妹紙とかに出せるような位置に自分はいないなぁ、と思っているので、まだまだ研鑽の余地がありそうです。


もう2カ月したら卒業で次の道がないっていうギリギリ路線なので、
引き続きポスドク就活がんばります。