2020年5月21日木曜日

コロナによる「外出自粛」で20年4月の自殺者数減少?!論争に関するメモ書き

「外出自粛」で自殺者数は減少するのか


20年4月の自殺者数は例年に比べ20%減少したという、人々の予想の逆をいくニュースが流れてきました。以下の議論はとある研究会でのお話を元に展開しております。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3977832.html
(元記事のURLですがすでに削除されてます。。)

記事ではもともと「家族ら同居する人が外出せず家にいることや、職場や学校に行く機会が減り、悩むことが少なかったことなどが要因」という分析が紹介されています。

これを人類学・社会学・精神学者の方々はどう見ているでしょうか。
果たして見出しの「外出自粛は自殺者数の減少に寄与する」という大胆な仮説は正しいのでしょうか。


※写真は本文と何ら関係のないものです


Facebookの知人が、このニュースを見てこんなことをつぶやいていた。少々長くなるが引用しておく。
 
 4月はある種「緊急事態」。そういうある種 社内全体が臨戦態勢にあるような特殊な時期よりも、その後の経過の中で自殺者は増える というように認識しているのですが、どうでしたっけ?

 記事の分析を起点に考えても、同居する人がいなくて孤立を感じる人が増えていくだろうこと、社会全体として「かくあるべし」の同調圧力が強くなっていくだろうこと、これらは経済的な要因以外にも自殺が増えてしまう要因になりえるのでは、と見ています。

 その意味では、これから先の数字がより気になります。
 医療の専門家や経済の専門家に加え、社会学的な観点からも対応が必要でしょう。

 それにしても、感染者数の推移やそれによる死者数の推移のグラフを毎日見続けるのは辛いことですが、自殺されてしまう方の数の推移を見守らなければいけないとは、なんと悲しいことでしょう。

 経済的な困窮者を少しでも減らしていけるようにするための努力だけでなく、気持ちとして追い込まれてしまう方を減らせるよう、社会全体で知恵を絞りたいです。


 


自殺要因の発現から自殺で亡くなるまでの日数は平均7.5年(中央値は5.0年)


上記の自殺者数減少要因が外出自粛によるという仮説を否定しうるファクトを掲げている興味深いnoteの記事, およびTweetがあった。

“このニュースを見て、「経済死んでも、自殺者減ってる」と思うのは短絡的。自殺要因の発現から自殺で亡くなるまでの日数は平均7.5年(中央値は5.0年)。人は悩み続けて最後に死を選ぶのだから。”

出典は自殺実態白書2013 (NPO法人ライフリンク)

なるほど、間違いない。
そして悩み続けた結果論として「死」という現象が起こるというのも感覚的に納得がいく。

経済的な要因による自殺はもっと後で来るということだ。
(もっとも、自殺要因の発言から亡くなるまでの日数が5年以上という仮説を適応してしまうと、リーマンショックによると思われる2009の自殺者数増加が説明できなくなってしまう気もするが。)


自殺は因果関係図を描いた時の一番下流の現象であるが故、それを説明しようと思うと交絡因子なり要因なりが多すぎて本当にわからないものだ。。


ということで、「自粛をしてるなり、その他コロナ関連が原因」による自殺者数の増減はもっと後でわかるということがわかる。

では、なぜ、自殺者数が減少したのだろう。。


「ハネムーン期」による生命力の向上


なんと、感覚・経験的に納得できそうな説明をNPO法人OVA代表理事の伊藤さんがつぶやいてくれている。

(なお、この投稿、とてもinformativeかつクリアな洞察があるので一読に値する)

一般的に戦争や災害の直後に自殺者が一時的に
減る現象がありますが、それに近いと思います。
東日本大震災でもそのような指摘がありました(https://www.asahi.com/sp/articles/ASN396GGFN2NUNHB01C.html 

すごく簡単に言えば、災害など大きなショックがあった場合
なんとかその変化に生活に適応しようという
パワーが生まれたり、連帯しようという動きが
(最初は)生まれます。
しかし、段々と疲れていきます。


引用によると東日本大震災後、東北で一時的に自殺率が低下したが復興期になると全国平均を上回っていたそうです。

これを伊藤さんは「ハネムーン期」と呼んでいる。
もし本当に4月にハネムーン期が来ている場合、社会はその後で疲弊し、幻滅期が現れるそう。

従って伊藤さんは、長期的には自殺リスクは高まり、楽観視はできないと感じている、と結論付けている。


なるほど、これはこれでわかりやすい説明で説得力がある。

「四月の自殺者数減少」という現象をどう解釈するのがいいのでしょうか。
現時点で結論はありませんが、長期的な視点での解釈が必要そう。



経済や外出自粛の話を抜きにしても...


経済的な影響, 外出自粛による影響なんかを抜きにして考えてみてもしかし、前年比20%の自殺者数減少は(あくまで現象として)面白いと思っている。


まず、知人とのディスカッションをしていた時の [前提]を。
1. 経済的な影響による自殺は確かにもっと後にくるだろう
2. 経済的影響は一度おいておいて、ほぼリモートになって対面の機会が減ったことでメンタル的な影響があるのではないか?
3. そもそもメンタルの不調と自殺者数が綺麗に比例するわけではないだろうから、自殺者数減だけで何らかの結論を導くのは早計だろう

こうした前提のもとあれこれ考えていると、、
 「自殺者数が過去5年内で最大級に減少しているのは事実。とするとその背景は何か(短期的には経済にあまり影響を受けない、かといって、本当にハネムーン期で説明がつくのか?)。」「外出自粛はメンタル面にどう影響しているか。  (と同時にそれを、どう測るのか、そもそも測定可能なのか。)」といった類の問いがでてくる。


こういう問いも考えていくような学者たちも出てくるんだろうな。




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参考URL

自殺の動機についての統計
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/H30/H30_jisatunojoukyou.pdf

そもそもの話として、自殺関連の統計データは「参考」にはなるかもしれませんが、そこまで「信頼」はできない(と、考えてよいだろう)。人が自殺する理由を一言にまとめられるものだろうか、という話だ。
言語的なデータ、つまり発言やアンケートなどの証拠がその人の真意を100%反映しているかといったら絶対そんなことはない。

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関連書籍





2020年5月19日火曜日

2020年の内省011_5月4日 - 5月19日: ひたすら物を読んだ

プライベートでは一生に一回のイベントを大成功させた。
(僕らしさの滲み出るクスっとした成功)

これまでその準備に莫大な時間をかけていたせいで怠っていた自己研鑽兼ねた情報インプットなり、研究業務、将来設計、課外活動を徐々に再開させ始めれてるな、ようやく。という現状です。

ただ、思っていたより3倍くらい遅い。
「今の10倍でやるにはどうしたらいいんだろう」を問い続けよう。
そして、いらない仕事もあるはずだから、取捨選択しよう。


小さなプロジェクトが動き出してなんか、このままだとてんてこまいな感じになりかねないので注意したい。コミュニケーションは案外時間とるぞ。
何が自分にとって大事なのか。大きな志掲げてやれるような仕事に本気で取り組もう。

この間のおいしかったもの

2020年5月4日月曜日

2020年の内省⑩4月14日 - 5月3日: COVID-19で動き出した周り・オンライン系での動き・採択2件・研究・研鑽も進んだ

この2週間もライフステージ上でかなり重大な決定だとか進展があったものの、仲間や周りの人に恵まれてなんとかかんとかここまで進めて来られた。

そう、本当に慶應時代にお世話になった先輩方や同期が優しすぎた。
研究室の実験関連や公募関連では先生が優秀かつ優しすぎる。
ありがとうございます。

キャリアに関しては、行動がゆっくりすぎるので、GW明けくらいからはギアチェンジしてやりはじめなくてはならない。

あと、読書、、、この二週間はとっても量が落ちてしまった。反省。

それから、、自分がPJTリーダーになることはいつでも忘れちゃいけないのに忘れてしまっているなって反省している。小さい人間に収まりたくないっていう内省。

この間のおいしかったもの