ポスドク先の海外ラボの選択基準について
将来の道は、海外ポスドクかなぁって、最近思うようになっていたので、いつもアカデミアの道に進む際にお世話になっている方に、お話を聞きに行ってきた。
この方は、東大→理研→外資系製薬会社→理研→アカデミックベンチャーCEOみたいな道のりを歩んでるかなり特殊なキャリアの方で、自身の将来設計をするうえで、いつも本当にためになるお話をしてくださる。
相談に訪れるたびに、その時に取っておくべき重要な(必要な)情報を的確に教えてくださる。。
今回も、
海外ポスドクに進むとなったときに具体的にどのようなステップを踏むのか
についてとてもイメージつきやすく教えてくださった。。
【選ぶ時の思考軸】
◆ライフワークになる仕事にしなさい。
→その人の場合は、ブレインサイエンスと行動科学だった。
実際に海外ポスドクをしていると、特に大きいラボの場合なんかは、とても競争が激しい。ファーストオーサー争いどころか、
同じテーマに2人とか3人アサインして戦わせるケースなんかもあるそうだ。
こうなってくると、一生戦えると思えるくらい信じられるものと、
あとは、武器になるものを考えたうえで選ぶのが大事だ。
◆伸びそうなところ(分野)にいけ。
これは全くその通りである。
研究費の分配なんかも大きく影響してくる。
こちらの本にも書いてあったけれど、
自分が身を置く市場(分野)が伸びていれば、それだけ自分自身の市場価値も高まる。
こちらの本にも書いてあったけれど、
自分が身を置く市場(分野)が伸びていれば、それだけ自分自身の市場価値も高まる。
『転職の思考法』
まさにそういうことだろう。
少なくとも衰退するような分野をえらばないというネガティブセレクションの意味でもこの基準は大事だ。と思う。
実際アプライするときのコツとか
◎超有名ラボ出身で、独立して准教授くらいからの人。
できれば独立して2,3年目くらい。
そこで自分のアイデアで一流ジャーナルを書いていることを見極める。
2年くらいだと、2,3報くらいでてて、次は多分おっきなジャーナルの狙えそうなところってわかるよね。
立ち上げたばっかりだと結果が出るまでにちょっと時間がかかってしまう。
※自分が見ているそのPIの先生が、本当にScienceだったりとか、一流のジャーナルで論文をかけるのかどうか?を見極めることがとても大事。本人がCreativeかどうか。
つまり、①政治でPIになる とか、 ②元付いていたボスのアイデアをそのまま引き継いで独立した とか。そういうケースで一流雑誌に載せれてしまうケースがある。
その場合、最高のCreativityのもとで仕事をすることができないよね。
◎レピュテーションを聞けるなら聞いておく
①10〜20件くらい選択する(レピュテーションも聞いたうえ)。
②メール出す
→ その人の場合は2件のみインタビューの返事が!:UCSFとコロンビア
③ようやく返事着たところでインタビューして、okだったら採用
☆メールめっちゃ出しても埋もれちゃう。メールで返事来なかったらFax!
☆それでもダメだったらFedExで送りつける!手紙。
◎インタビュー受けれるかどうかとか、ポスドクに取ってくれるかどうかとかは、
先生に学会で会っておくこと。
これがめっちゃ大事。一回会ってるかどうかは雲泥の差。
ファンディング・資金面について
1年分でいいから、こちらで奨学金なりフェローシップを用意していくこと。
それで一年間は無給で勝負して、腕とか働きぶりを見てもらって、2年目から【よし。こいつなら】って思ってもらえたらポスドクとして雇用してもらう。
そういうネゴシエーション戦略が一般的。
だから1年目は300万円とかファンドをもっていく。
財団の例:
ヒューマンフロンティアサイエンス財団
上原財団
学振
その他Tips
☆向こうの大学(US)は研究を本気でビジネスにしようとする。
→ お金を稼げる人がPIに登用される。(日本もそれはそう。)
トランスフェクションの特許持ってるとか例に挙げてくれたけど、確かにそれはお金莫大に稼いでるよなぁ。。
☆追い出し文化について;
日本では優秀な学生を自社に囲い込んでおこうとするけれど、海外ラボは真逆。
優秀な人を外に出した方が、輩出したボスの評価が高くなるから、囲い込みなんて起こらない。弟子はどんどん外に出す。
これは日本と真逆。
☆後大事なことは、日本の会社の採用も受けておくこと。
☆ポスドク40代みたいな人がたくさんいる。死なない程度に給料はある。
だから怖い。
一生ポスドクで終えてしまわないように。
☆アメリカでいいなら、採用してくれる会社はたくさんある。
向こうでは、ポスドク→就職はめっちゃ普通のルート。
日本の会社だとやっぱり3年目くらいまでが切れ目かも。
☆PIになる覚悟
このかたも、一度PIにチャレンジした経験を持つのだけれど、
その時にPIにしかわからない気持ちとか覚悟みたいなのを実感したと言う。
自分が学生さんとか雇用を抱えているということは、その人を育て上げないといけない。だけれども、特に国内の研究環境は本当に劣悪。どうしても助教へと残れる席の数が決まっている以上、自分では責任を追いきれない、全員を幸せにできないな、と感じたと言う。
【自分では、育てられないなと思った。】っていう言葉がいまだに頭に呼応している。
企業側のメリットとか、実際の企業目線のお話し
企業にいて良かったのは、物流とか動きとか裏側を見れたところ。
アカデミアいなくても研究できる。
アカデミアのアイデアがあればできるので、企業にいったからといって研究を諦める必要はないのでは。
買う側のニーズってめっちゃ多様。単に性能がいいとか安いとかじゃない。
実験台に置けないなとか。余ってくるこのグラントのこのくらいのお金で買いたいなとか。いつもの営業マンが優しいから、この会社から買うんだ、とか。
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以上、
雑多にポスドク選択を考えるときに聞いたお話でした~~
今の時期はポスドクに傾いているが、あくまでもまだスタンスとしてはフラット。
もう少し考えたいので。。
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関連書籍
『転職の思考法』